PDF 割り付け(N-up)について
「N-up(N アップ)」は、用紙の片面に N ページを収めることを指す印刷業界の略語で、日本語では「割り付け」とも呼ばれます。このツールは印刷ダイアログに任せるのではなく、そのレイアウトを新しい PDF として作成します。そのため、どのプリンターでも同じ仕上がりになり、用紙を使う前に確認できます。1 枚あたりのページ数は 2・4・6・9 から、用紙サイズは A4(既定)かレターから選びます。
用紙の向きはページ数に合わせて変わります。2 アップと 6 アップは横向き、4 アップと 9 アップは縦向きの用紙を使います。外周に 0.25 インチ(約 6 mm)の余白を取った内側を同じ大きさのマス目に分け、元の各ページを縦横比を保ったままマスに収まるよう縮小して、中央に配置します。ページは文章を読むのと同じ順、つまり上の行を左から右へ、続いて次の行へと埋まっていきます。ページの端を見せたい場合は、各ページの周りに細い枠線を描くこともできます。
途中で画像に変換されることはありません。各ページはベクターデータのまま用紙に配置されるため、テキストはどれだけ拡大しても鮮明で、検索やコピーもできます。ただし、クリックできるリンクと入力可能なフォームフィールドの 2 つは引き継がれません。
PDF 割り付け(N-up)の使い方
- PDF を開くコンパクトに印刷したい文書をドロップするか、ファイル選択画面で選びます。暗号化されたファイルは、割り付ける前にパスワードを外す必要があります。
- レイアウトと用紙を選ぶ「1 枚あたりのページ数」と「用紙」(A4 かレター)を、プリンターにセットした用紙に合わせて選びます。ページの背景が白く、ページの端を見えるようにしたい場合は「各ページを枠線で囲む」をオンにします。
- 作成して印刷する「用紙に割り付ける」を押して、新しい PDF をダウンロードします。印刷するときは倍率を 100% または「実際のサイズ」に設定し、プリンターがレイアウトをさらに縮小しないようにします。
主な利用シーン
学習用の資料を少ない枚数に
40 ページの講義ノートを 4 アップにすると 10 枚に収まり、両面印刷も併用すれば 5 枚になります。文字は小さくなりますが、復習用には十分読めます。
長いレイアウトをひと目で確認
36 ページのパンフレットを印刷所に入稿する前に 9 アップ版を作れば、4 枚に収まります。机の上に並べると、見出しの不統一や写真の抜け、不自然な改ページがすぐに目に付きます。
手書きで書き込むための下書き
横向きの A4 に 2 アップで印刷すれば、ペンで書き込みたい契約書の下書きも用紙が半分で済み、各ページは目を凝らさなくても読める大きさを保てます。
グリッド・用紙の向きと各ページの縮小率
| 1 枚あたりのページ数 | 用紙 | 並び方 | レターサイズのページを印刷したときの大きさ(目安) |
|---|---|---|---|
| 2 | 横向き | 左右に 2 ページ | 元の約 60% |
| 4 | 縦向き | 横 2 × 縦 2 | 半分弱 |
| 6 | 横向き | 横 3 × 縦 2 | 約 3 分の 1 |
| 9 | 縦向き | 横 3 × 縦 3 | 3 分の 1 弱 |
大まかな目安として、2 アップなら通常の本文も無理なく読め、4 アップは復習や校正に使え、6 アップや 9 アップは読むためではなくレイアウトを確認するためのものです。縦向きのグリッドに横長のスライドを置く場合のように、ページの形がマスと異なると、さらに小さく縮小され、周りに余白ができます。
きれいに印刷するために
- 実際のサイズで印刷する。用紙はすでに正しい寸法になっているため、「用紙に合わせる」や「大きいページを縮小」といった設定は文字を小さくするだけです。
- 用紙を合わせる。日本をはじめ多くの国では A4、米国ではレターが一般的です。合っていないと、プリンターが拡大縮小したり端を切り落としたりします。
- 両面印刷も組み合わせる。割り付けた PDF を両面印刷すれば、用紙はさらに半分になります。横向きの 2 アップや 6 アップの用紙では、通常「短辺とじ」を選ぶと裏面が正しい向きになります。
レイアウト後に残るもの、残らないもの
配置されたページには、本物のテキスト、鮮明な線、元の解像度の写真がそのまま残ります。一方、リンクはクリックできなくなり、フォームフィールドは失われます。記入済みのフォームなら、先に PDF フラット化にかけてください。入力内容が通常のページの内容に変わり、そのまま引き継がれます。
枚数が減っても、ダウンロードするファイルが軽くなるわけではありません。各ページは細部まで完全に保存されたまま小さく描かれるだけなので、ファイルサイズは元と同程度です。小さくしたい場合は PDF 圧縮を使います。レイアウトにはタイトルや作成者などの文書プロパティを設定する項目がないため、結果のファイルで PDF メタデータ編集を使って確認・変更してください。
このレイアウトツールに向かない作業
- 二つ折りの冊子。ページは厳密に読む順に配置され、中とじ冊子に必要な入れ替えた順序にはなりません。そのため、2 アップで印刷して真ん中で折っても正しく読めません。
- 用紙サイズだけの変更。1 枚に 1 ページのままレターから A4 に変えたい場合は、PDF 用紙サイズ変更が適しています。
- 別のページ順。レイアウトはファイルの現在の順序に従います。用紙上で違う順に並べたい場合は、先に PDF ページ並べ替えでページを動かしてください。
- 2 アップの印刷を元に戻す。2 ページが載った用紙を 1 ページずつに戻すには PDF 見開き分割を使います。
ロックされた PDF は、先に PDF パスワード解除とそのパスワードが必要です。用紙の組み立てはお使いの端末上で行われ、PDF が外に出ることはありません。プライバシーのページでご自身で確認できます。